苔観察に行く時の注意点

苔のことをもっと知りたいという思いから月に数回は野山に足を運んでいる。

自生している苔を見ることは苔テラリウムを作る上で重要。

それぞれの苔がどんな環境をのぞんでいるのかを身をもって知ることができるからだ。

ただ、苔好きの人が森に入る時にはいくつかの注意点がある。

その注意点を守らないと時には命の危険にも繋がりかねない。

今回のブログでは山や森での注意点をお伝えしようと思う。


まず最初は身なり、服装である。

本当に基本的なことなので知っていただきたい。

足元の靴はトレッキングシューズを履く。

苔観察では岩場や水場、砂地や砂利敷きなどさまざまな地形に応じた地面を歩くことになる。

スニーカーやサンダルでは不可能だ。

平らな面だけではなくゴツゴツした岩場を歩くこともあるので捻挫をしない様に足首をガッチリ固定できるタイプのトレッキングシューズを選ぶ。

苔は水を好むため、ぬかるんだ場所や渓流に多く自生している。

遠くの乾いた安全な場所から眺める分にはいいが苔好きはどうしても近くまで寄って観察したくなる傾向がある。

近づくためには水に強い撥水加工がされたシューズが有効だし、靴裏が滑り止め仕様になっている必要がある。

靴選びの際はその様なことを考慮した上で買うと良い。


次に服装のポイント。

それは肌の露出を極力抑えることだ。

夏場でも半袖半ズボンは避けないといけない。

森の中では獣道の様なところを歩くことがある。

そうすると知らぬ間に尖った枝やトゲのある植物に触れたり、毒性のある葉に触れたりする。

服で肌が覆われていればよっぽど肌を傷つけることはないはず。

それと蛇やムカデ、アブや蚊やハチやヒルなどは常に私たちを狙っていると思ってよい。

そのような敵に万一襲われても軽傷で済むためには肌の露出を抑えることが必須だ。

今言ったことは腕や足だけではない。頭も外敵から守る必要がある。

帽子も忘れずに被るように。

おススメはハット型。

夏場は日差しを遮ってくれるし、蜘蛛の巣に気づかず進んだ時に防御にもなる。

スズメバチは黒いものに向かってくる修正があるので帽子を被ることで髪の黒を隠すことができる。


これは意外に知られていないことかもしれないが香水をつけて行くのはやめよう。

その甘い匂いにつられ、アブやハチなどにしつこく付きまとわれることになるだろう。


次に持ち物について。

まず絶対に必要なのは飲料水。

水場に行くし清流が流れてるからそれを飲んだら良いと考えるのは浅はかだ。

川の水は濾過しない限り色々な不純物や細菌などが混ざり込んでいるもの。

気軽に生水を口にすると体調を壊す原因になる。

山や森の中で体調を崩したら一大事だと知っているなら安全な飲料水を持っていくべきだ。

森の中を歩いていると気づかない内に体力は消耗している。

水分補給は意識してしっかり摂るようにしよう。

必須の持ち物二つ目はクマ、イノシシよけのベル。

相手に遠くからこちらの存在に気づかせてあげることが大事。

クマやイノシシも好き好んで人を襲うわけではない。

襲われた多くの場合は急に鉢合わせた場合だと言う。

もし、私はクマやイノシシが出るような山深いところまでは行かないという人でも対策はすべき。

動物たちはエサを求めて里までおりてくることはよくある。

私も先日、住宅街にほど近い森の中でケモノ道を歩いていた時、後ろの方からグルル…という動物の威嚇する声を聞いた。

これは目が合うと襲われるかもしれないと思い、こちらは気づいていないフリをしてその場を早足で進み、なんとか切り抜けた。

帰宅してから、あの威嚇する声の主はなんだろうと思いYouTubeで調べたところ、なんとまさにクマの威嚇する声とそっくりであることを知り、ゾッとしたことがある。

まさかあの住宅街にほど近い森の中にクマなんかいないだろうという思い込みがあったがそれは間違いだとようやく分かったのだ。


注意点の最後は遭難だ。

遭難なんて…と思っているかもしれないが山を甘く見てはいけない。

私はアスファルトで舗装された峠道の脇に足を踏み入れたあと、遭難しかけたことがある。

道路脇だからいつでも戻れるだろうと思い気軽に入った森での出来事。

水が流れる音のする方へ苔との出会いを求めてどんどん進んで行った。

日も暮れかけてきたので、さて帰ろうかと来たルートを戻る。

ところが、進んでも進んでも車を停めたアスファルト道路にまで辿り着けない。

遭難だ。

スマホは圏外、GPSも使えない。

持ち合わせた水も食料も何もない。

三時間くらい彷徨っただろうか。

ようやく道路に出たがそこは車を停めた位置から数キロ離れた場所だった。

私たち苔好きは夢中になっていると人が足を踏み入れないような場所にどんどん進んでいこうとする。

また苔に集中しているので下の方ばかりを見ていて来たルートを見失う可能性もある。

つまり遭難の危険に無意識のうちに晒されていることを自覚しなければならない。

遭難しないための最初のポイントはケータイやスマホを頼ってはダメだということ。

森の中に入ると、ほどなくして圏外になることが多い。

ネットへの接続ができないとなると道に迷った時にその森の地図や情報を知りたくても調べることさえできなくなる。

地図や情報は紙に打ち出して持ち歩くか、ダウンロードしてローカルでも閲覧ができる状態にしておくと良い。

次のポイントは通った道に目印になるものをつけるのが有効だ。

特に分岐路には枝や幹に目立つ色の紐を巻きながら進むといい。その位置が見えなくなる位置に次の目印をつける。

そうすると迷ったときに進むべき方向が明確になる。

紐を忘れたならポイントに大きな石を積んでおくなど工夫してもいい。

あと、気軽に森に入るのは良くない。

この森はどんな森なのか、ルートは?距離は?事前に調べること。

また、一人ではなくなるべく複数人で行くことをおススメする。

その中には森のことに精通しているメンバーがいるとなお良い。


以上、苔観察に行くときの注意点をまとめて見た。

くれぐれも夢中になりすぎて事故の無いように安全に苔観察を楽しんでほしい。

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