苔テラリウムフィギュア

私はいつも苔テラリウム用のフィギュアをネットで探すのだが意外と好みのものが見つからない。

これが常日頃苔テラリウムクリエイターを悩ます種だ。

とは言うものの実は私自身はフィギュア不要論者ではある。

情景が良ければフィギュアは特には不要だと思ってるのが正直なところ。

なぜならフィギュアがあると苔テラリウムを見る人が鑑賞した時に生まれる自由な想像力を遮ってしまうような気がしているからだ。

だが逆も言える。

フィギュアを入れることでクリエイターが意図する世界観を表現しやすくなるのも事実。

苔と石だけで表現できない部分をしっかりと補い、苔テラリウムのテーマやストーリーを明確にしてくれるのだ。

そう言う意味で、フィギュアは苔テラリウム界のストーリーテラーの役割を果たしている。

つまり、苔テラリウムを作る上で欠かせない存在なのだ。

しかし、苔テラリウム用のフィギュアはクリエイターが望むほどこの世の中にあまり存在していないのが現状。

また、探し当てたとしても高価だったり、質が悪かったりする。

有名なクリエイターの方々でさえ、フィギュア探しには苦労をしているようだ。

それは私もそう。

メルカリやAmazonなどで鉄道模型用のフィギュアやかわいいキャラクターのフィギュアを探したりしている。

例えば日本の野山を表現するために鹿を入れたいと思うことがよくある。

どうにか手に入れようと探したがフィギュアとして販売されているのはNゲージ用の1/150スケールのもの。

それは1センチに満たないほどの大きさだ。

これでは流石に小さい。

とはいえほかにいくら探しても適用サイズは見つからないのだ。

バリエーション豊富な苔テラリウム用フィギュアがあるといい。

そうなれば苔テラリウムの世界感が広がりみんなが楽しめるようになるはず。

クリエイターがサイズ、質、価格において満足できるフィギュアが簡単に手に入れられる仕組みが欲しい。

そう考えて悩んでいたとき、名案が浮かんだ。

世間に無いのであれば自分で作ればよいのだ。

幸い現在は世の中に3Dプリンターも普及してきているわけで。

私はオリジナルフィギュアの開発に乗り出そうとしている。

すでにいくつかのフィギュアを3Dプリンターで製作したものが手元にある。

正確にお伝えすると、ある人に依頼して作ってもらっている。

その人は私の苔楽ワークショップに二度も来てくれた方だ。

なぜ彼女に依頼したかと言うと、彼女は作る苔テラリウムのセンスが初心者なりにもとても良かったからだ。

あくまで私の直感だが、私とセンスの感覚が似ていると思った。

つまり私が欲しいと思うフィギュアと彼女の作るフィギュアはおそらく共通しているはず。

しかも家に3Dプリンターが数台あると言う。

これもご縁。

私は彼女に苔テラリウム用のフィギュアの原型制作を依頼することにした。

問題は私の塗装技術が伴っていないこと。

ここを補うことができれば販売を視野に入れていくことも夢ではない。

今後、苔テラリウムを作る人がネット上で無理にイメージに合わないフィギュアを買わなくてよくなるように。

私が皆さんの自由な発想の苔テラリウム作りをサポートしていけたらいいな、なんて構想を抱いている。

苔を植える時の配置について

小瓶のような限られたスペースの中に苔を植えて自然の風景でありながらインパクトを残すにはどうしたら良いかを考えてみた。

誰もそれを定義していないこともあり、そこには決まりなどはない。

しかし、たくさん苔テラリウムを作っていると自分なりの法則が出来ていることに気づく。

せっかくなのでこのブログを見てくれている方々にその法則を公開しようと思う。

自然界から学ぶ

まず最初に言えることは自然の風景を見て模倣するのが一番の上達の早道だということだ。

自然界の姿からレイアウトを習い、自分なりに解釈してそこで感じたことを苔テラリウムに再現する。

そのためにはどのように木々が成長し、そこに根付き、情景を作っているのかをじっくりと観察する必要がある。

本当は実際に山に行き観察をするのが一番良い方法だと思うが、なかなかそれができない人は山の写真をお手本にするといい。

今まで見えていなかったことがきっと見えてくることだろう。

苔テラリウムと盆栽の違い

話は変わって苔テラリウムと盆栽の明確な違いは何か。

ガラス容器に植えるのが苔テラリウムで鉢に植えるのが盆栽?

それもそうだと思う。

ではレイアウトについて絞って考えたらどうだろう。

私の考えた答えは次の通り。

主役になる個体をレイアウトに用いないのが苔テラリウムであり、それが盆栽との違いである。

苔テラリウムには主役になる松やヒノキや楓などの樹木は基本使わないのだ。

それでも情景として成り立っているのはなぜだろう。

それは脇役的な苔の存在感を全体的な風景として楽しむものだからだ。

盆栽と苔テラリウムがあきらかに違うのはこの点だと思っている。

フィギュアは主役か?

苔テラリウムには主役となる樹木は無いがテーマとなるフィギュアを入れる場合がある。

好みにもよるが私は極力フィギュアに頼らず脇役の苔を愛でる作品を作りたいと思っている。

もし、フィギュアを使うことがあっても苔があるからこそ引き立つフィギュアを選定し、苔のある風景の中にはさりげなく入れるようにしようと心がけている。

そういう観点から苔テラリウムにおけるフィギュアは主役ではなくテーマのヒントとなるアイテムくらいの位置付けで風景に溶け込ませるくらいの存在感にとどめておいた方が、私の好きな苔テラリウムらしさになると考えている。

苔の配置の仕方

ではどのように苔を配置したらいいのか改めて考えてみよう。

まず、私が気をつけていることは苔を植えすぎないこととたくさんの種類を使いすぎないことだ。

自然界でも言えることだが、ある一部の景色にはそこに根付いた限られた種類の植物しか生息していない。

その自然界を小さな容器に再現するのだから沢山の種類の苔を詰め込むだけ詰め込んでしまってはかえって不自然である。

私はいつも「地面を覆う背の低い苔」と「空間を埋める背の高い苔」、「アクセントとなる特徴のある苔」のように三種類に分類して苔の配置を考えている。

それぞれの分類ごとに一〜二種類の苔を使う程度である。

沢山の種類の苔を計画性もなくただ植え込むと統一感を失い、チグハグな印象を与えてしまう可能性が高いからだ。

先程上げた分類を元に、石やソイルで組み上げた土台のどこにその分類が該当するのかよく検討する。

容器を目線の高さに上げたり、上から覗き込んだりしながら考える。

そして配置が決まったら背の低い苔から植え付けていく。

背の低い苔を植え付ける

私がいつも使う背の低い苔はホソバオキナゴケやタマゴケ、カモジゴケなど。

背の低い苔は全体をほぼ覆うように植えるが、配置した石のデコボコの表面や化粧砂でかたどった部分などは苔で覆わずよく見せるように気をつける。

また、石とソイルの境目の部分や化粧砂のラインなどをそのまま見せてしまうと人工的に作られたような印象を与えてしまうため、境目には背の低い苔をさりげなく入れてラインをぼかすようにしている。

背の低い苔を最初に植え込む理由は他に障害がないうちの作業になるため植え付けやすい点と、丁寧に植え付けようとするとかなり細かい作業になることが分かっているので大変なところは最初に終わらせておきたいという感情的な部分だ。

苔と苔の間に不自然な隙間が空いていないか確認し、そこを苔で埋めたら仕上げ作業完了である。

背の高い苔を植えつける

背の低い苔を植え付け終わったらまた全体を良く観察し、次は背の高い苔を植え付けていく。

背の高い苔に最適なのは私が一番好きな苔でもあるヒノキゴケだ。

植え付ける際は何も無い場所、つまり、空間として隙間が空いているところを立体的に埋めていくような感覚で配置を考えると良い。

細かい話だが、その空間を全て埋め尽くすのではなく少し余白を残すのもテクニックのひとつだ。

空間が空間として存在する意味を強調することができるからだ。

これは盆栽にも共通するのかもしれないが空間をいかに格好良く見せるかを気にすることで仕上がりに大きな影響が出ると感じている。

瓶の中いっぱいに苔が詰まっているよりも情景を表現するなら木漏れ日が落ちるような空間を残すことも大事なので意識してみよう。

植え付ける位置は、同じ種類の苔をパラパラと散らかすのではなく二、三ヶ所に分けて、数本の苔の束になるように植えると見栄えが良い。

自然界では同じ種類の植物が寄り添うようにまとまって生息していることも多いので、それに習って配置することでより違和感のないレイアウトになる。

特徴のある苔を植え付ける

最後にインパクトのある特徴的な苔を目立つところに植え付ける。

実はこの分類はあってもなくてもいいとも言える。

しかし、作品として作るのであれば何を見せたいかという作者の主張も盛り込むべきだと考える。

その考えからすると、アクセント的に他とは違う苔を使うのは有効的だ。

それは一箇所でも良いし、その苔テラリウムのテーマとなる苔なら数カ所に分けてイメージカラーとして植え付けても良いと思う。

もちろん選ぶ苔はその環境に適した苔を選ぶことは忘れてはならない。

ちなみにこの特徴のある苔の代わりに私は最近シダ植物を使うことがある。

レイアウトの縮尺は大きめにはなるがシダ植物のインパクトは絶大である。

実際、自然界では苔とシダは共生しているので苔テラリウムにも馴染むアイテムなのだ。

まとめ

ここまで私の意識している苔の配置について公開した。

もし苔テラリウムクリエイターの方で他にもご意見があれば是非聞いてみたいところである。

あくまで個人的な意見をざっくりと書いたので参考になるかは分からないが是非今後苔テラリウムを作る時には試して欲しいと思う。

今後の苔テラリウム業界の流れ

ずっと苔テラリウムを作っているとだいたい同じようなレイアウトに落ち着いてくる。

クリエイターからするとその形が成功例であり、管理もしやすく見た目も良いのでお客様に提供するには間違いのない形なのだ。

しかし、近しい雰囲気の作品ばかりを量産するのではクリエイターと名乗る以上、少し歯痒い思いをしている。

ところが奇抜な発想などはそんなにたくさん生まれないし、やったとしても管理が難しくすぐに苔がダメになってしまったり形が崩れやすかったりすることもある。

おそらく他の活躍されているクリエイターの方々も同じような悩みを抱えているんだろう。

さまざまなレイアウトがあるが、SNSなどを見ているとだいたいのレイアウトパターンが出尽くした感がある。

このままクリエイターが規定路線の苔テラリウムばかりを作っていると次第に世間から飽きられてしまうだろう。

苔テラリウム業界の発展のためには、やはり、何か新しい発想やアイデアや仕組みが求められる。

となると、次に注目が当てられるのは苔テラリウム本体に付随する容器や材料などの周辺オプションではないだろうか。

ガラス容器の形、大きさ、仕様などはまだまだ種類があっても良いし、フィギュアなどは無限大にデザインできる。

また、容器を取り巻く環境作りの分野でもまだまだ誰もやっていないことはある。

それらの開発や販売をクリエイター目線で行えばひとつの作品がまた新たな表現力を持って違う顔を見せてくれるはず。

また、クリエイターが開発し作品展開すればそれに対する需要も生まれることになる。

周辺オプション開発は苔テラリウム業界を支える大きな柱となることは間違いなさそうだ。

今後、苔楽企画も苔テラリウム愛好家代表として、そちらの分野にも力を入れていきたいと思っている。

もし、ご協力いただける方やアドバイスいただける方などおられましたら是非お声かけください。

愛知県瀬戸市イベント「苔テラ小屋」を終えて

結果大成功で終えたイベント「苔テラ小屋」を振り返ろうと思う。

苔しばりのイベントで何か面白いことができないか?

それがヒロシックスさんの最初の発想だった。

その後、色んなアイデアを集まった仲間で出し合った。

そして、苔テラ小屋は今までの苔イベントにはあまりない新しい発想の盛り込まれたイベントとなった。

大枠は苔テラリウムのワークショップだが、それを形作る要素や意義が斬新だったのだ。

まずは声をかけた東海地方のクリエイターや苔愛好家達が集合した。

東海地方には苔メインのショップが無く、関西や関東に比べるとあまり苔文化が盛り上がっていないように見える。

だから、私たちの力で苔文化を盛り上げようと思っている仲間たちだ。

そして最終的にただ普通に苔テラリウムを作るのではなく、ワークショップの流れの過程を区切りそれぞれができることを役割分担することにした。

つまり、お客様はひとつのオリジナル苔テラリウムを作るために別々のクリエイターのブースを経てそこで集めた部材を使い完成させるのだ。

まずはあいさんのブースでフィギュアを粘土細工で手作りする。

そしてまこさんの用意した苔やシダを見て自分が使いたい苔やシダを選ぶ。

そのあと私のワークショップで苔テラリウムを完成させるという流れだ。

またその周りにはK2工房さんやコケ田コケキくんの作った苔に関連するグッズや作品が並び、イベントを盛り上げてくれる。

それぞれのクリエイターたちが一連の流れの中で輝くことができ、お客様達もそのコースを終える頃には苔文化に触れた満足感に浸って帰ることができるような仕組みだ。

このイベントに来てくれたお客様はおそらくもともと苔好きな方が多かったのだろう。

それぞれのクリエイター達がSNSを使って「苔テラ小屋」を発散してくれたことで予想を遥かに超える人数の方が来てくれた。

大きなトラブルもなく終えることができたのは仲間たちがスタッフとしてフォローしあいながら円滑な仕事をしてくれたお陰であろうと確信している。

そして、「楽しかった。」「またやって欲しい。」というお声もたくさんいただいた。

主催者のヒロシックスさんはおそらくすでに第二回目の構想を練っているだろう。

私は、東海地方から苔文化を盛り上げたい人間の一人として、また次回のお誘いがあることを心待ちにすることとしよう。