苔テラリウムは自然の野山を小瓶の中に表現するのが基本スタイルだ。
自然の景色の中には植物や岩盤、動物などと併せて川や海などの水辺がある。
そもそもアクアリウムの中に分類されるテラリウムは本物の陸と水を水槽の中に設けて本物の生体を入れて楽しむものだ。
そのテラリウムから発展したはずの苔テラリウムでは本物の水を使うことはほぼ無い。
そこが苔テラリウムの良いところだと私は思っている。
なぜなら水や生体を扱うと管理が非常に難しく、室内に異様な臭いが漂ったり、音がうるさかったりして大変だからだ。
とはいえ、自然の風景を苔テラリウムに再現しようとするとどうしても水辺の風景は外せない。
たくさんの人がたくさんの素材を使って水辺を表現しようとしている。
私も水辺の表現をするのにいくつかの素材を経て来た。
例えば滝の表現をするためにグルーガンを使ったり、はたまた木工用ボンドを試したりした。
木工用ボンドは水に濡れてダメになるので失敗。グルーガンは未だによく使っている。
寒水石は日本庭園の枯山水をヒントに使い出した。
シンプルな白は光を持ち印象としては明るくなるのでよく使った。
さらに水辺の景色にリアルさを追求していくといずれレジンを使うことになる。
ただレジンは扱いが非常に難しいし、有害物質も含まれるため初心者にはかなり難儀な素材である。
そんなこんなで探し当てた、というか私にぴったりマッチした素材がカラーサンドだ。
最初購入したカラーサンドは粒子が細かすぎて加水と共に流れていってしまい失敗した。
しかし、適切な粒の大きさにしたところ、扱い易さが非常に良いものとなり重宝することになった。
最近はもっぱらこれを使って水辺の表現をしているがとても評判が良い。
カラーサンドなのでとにかく発色が良いことが特徴。
苔と石の比較的地味な色合いの中で原色が入るとひときわ目をひくのである。
また、メインの色に少し彩度を落とした色を加えると素敵なグラデーションが出来上がる。
このグラデーションが原色のカラーサンドが嫌味なく自然の景色に溶け込む肝であることは間違いないのである。
山に行って渓流をよく観察してみよう。
全ての景色はグラデーションで覆い尽くされていてそれが柔らかな景色を作っていることに気づくことだろう。
苔テラリウムは自由だ。
それぞれが好きな素材を使い、探求心の赴くまま試してみて、いずれ自分にマッチした素材に出会えたらそれでいいと思う。