苔を植える時の配置について

小瓶のような限られたスペースの中に苔を植えて自然の風景でありながらインパクトを残すにはどうしたら良いかを考えてみた。

誰もそれを定義していないこともあり、そこには決まりなどはない。

しかし、たくさん苔テラリウムを作っていると自分なりの法則が出来ていることに気づく。

せっかくなのでこのブログを見てくれている方々にその法則を公開しようと思う。

自然界から学ぶ

まず最初に言えることは自然の風景を見て模倣するのが一番の上達の早道だということだ。

自然界の姿からレイアウトを習い、自分なりに解釈してそこで感じたことを苔テラリウムに再現する。

そのためにはどのように木々が成長し、そこに根付き、情景を作っているのかをじっくりと観察する必要がある。

本当は実際に山に行き観察をするのが一番良い方法だと思うが、なかなかそれができない人は山の写真をお手本にするといい。

今まで見えていなかったことがきっと見えてくることだろう。

苔テラリウムと盆栽の違い

話は変わって苔テラリウムと盆栽の明確な違いは何か。

ガラス容器に植えるのが苔テラリウムで鉢に植えるのが盆栽?

それもそうだと思う。

ではレイアウトについて絞って考えたらどうだろう。

私の考えた答えは次の通り。

主役になる個体をレイアウトに用いないのが苔テラリウムであり、それが盆栽との違いである。

苔テラリウムには主役になる松やヒノキや楓などの樹木は基本使わないのだ。

それでも情景として成り立っているのはなぜだろう。

それは脇役的な苔の存在感を全体的な風景として楽しむものだからだ。

盆栽と苔テラリウムがあきらかに違うのはこの点だと思っている。

フィギュアは主役か?

苔テラリウムには主役となる樹木は無いがテーマとなるフィギュアを入れる場合がある。

好みにもよるが私は極力フィギュアに頼らず脇役の苔を愛でる作品を作りたいと思っている。

もし、フィギュアを使うことがあっても苔があるからこそ引き立つフィギュアを選定し、苔のある風景の中にはさりげなく入れるようにしようと心がけている。

そういう観点から苔テラリウムにおけるフィギュアは主役ではなくテーマのヒントとなるアイテムくらいの位置付けで風景に溶け込ませるくらいの存在感にとどめておいた方が、私の好きな苔テラリウムらしさになると考えている。

苔の配置の仕方

ではどのように苔を配置したらいいのか改めて考えてみよう。

まず、私が気をつけていることは苔を植えすぎないこととたくさんの種類を使いすぎないことだ。

自然界でも言えることだが、ある一部の景色にはそこに根付いた限られた種類の植物しか生息していない。

その自然界を小さな容器に再現するのだから沢山の種類の苔を詰め込むだけ詰め込んでしまってはかえって不自然である。

私はいつも「地面を覆う背の低い苔」と「空間を埋める背の高い苔」、「アクセントとなる特徴のある苔」のように三種類に分類して苔の配置を考えている。

それぞれの分類ごとに一〜二種類の苔を使う程度である。

沢山の種類の苔を計画性もなくただ植え込むと統一感を失い、チグハグな印象を与えてしまう可能性が高いからだ。

先程上げた分類を元に、石やソイルで組み上げた土台のどこにその分類が該当するのかよく検討する。

容器を目線の高さに上げたり、上から覗き込んだりしながら考える。

そして配置が決まったら背の低い苔から植え付けていく。

背の低い苔を植え付ける

私がいつも使う背の低い苔はホソバオキナゴケやタマゴケ、カモジゴケなど。

背の低い苔は全体をほぼ覆うように植えるが、配置した石のデコボコの表面や化粧砂でかたどった部分などは苔で覆わずよく見せるように気をつける。

また、石とソイルの境目の部分や化粧砂のラインなどをそのまま見せてしまうと人工的に作られたような印象を与えてしまうため、境目には背の低い苔をさりげなく入れてラインをぼかすようにしている。

背の低い苔を最初に植え込む理由は他に障害がないうちの作業になるため植え付けやすい点と、丁寧に植え付けようとするとかなり細かい作業になることが分かっているので大変なところは最初に終わらせておきたいという感情的な部分だ。

苔と苔の間に不自然な隙間が空いていないか確認し、そこを苔で埋めたら仕上げ作業完了である。

背の高い苔を植えつける

背の低い苔を植え付け終わったらまた全体を良く観察し、次は背の高い苔を植え付けていく。

背の高い苔に最適なのは私が一番好きな苔でもあるヒノキゴケだ。

植え付ける際は何も無い場所、つまり、空間として隙間が空いているところを立体的に埋めていくような感覚で配置を考えると良い。

細かい話だが、その空間を全て埋め尽くすのではなく少し余白を残すのもテクニックのひとつだ。

空間が空間として存在する意味を強調することができるからだ。

これは盆栽にも共通するのかもしれないが空間をいかに格好良く見せるかを気にすることで仕上がりに大きな影響が出ると感じている。

瓶の中いっぱいに苔が詰まっているよりも情景を表現するなら木漏れ日が落ちるような空間を残すことも大事なので意識してみよう。

植え付ける位置は、同じ種類の苔をパラパラと散らかすのではなく二、三ヶ所に分けて、数本の苔の束になるように植えると見栄えが良い。

自然界では同じ種類の植物が寄り添うようにまとまって生息していることも多いので、それに習って配置することでより違和感のないレイアウトになる。

特徴のある苔を植え付ける

最後にインパクトのある特徴的な苔を目立つところに植え付ける。

実はこの分類はあってもなくてもいいとも言える。

しかし、作品として作るのであれば何を見せたいかという作者の主張も盛り込むべきだと考える。

その考えからすると、アクセント的に他とは違う苔を使うのは有効的だ。

それは一箇所でも良いし、その苔テラリウムのテーマとなる苔なら数カ所に分けてイメージカラーとして植え付けても良いと思う。

もちろん選ぶ苔はその環境に適した苔を選ぶことは忘れてはならない。

ちなみにこの特徴のある苔の代わりに私は最近シダ植物を使うことがある。

レイアウトの縮尺は大きめにはなるがシダ植物のインパクトは絶大である。

実際、自然界では苔とシダは共生しているので苔テラリウムにも馴染むアイテムなのだ。

まとめ

ここまで私の意識している苔の配置について公開した。

もし苔テラリウムクリエイターの方で他にもご意見があれば是非聞いてみたいところである。

あくまで個人的な意見をざっくりと書いたので参考になるかは分からないが是非今後苔テラリウムを作る時には試して欲しいと思う。

今後の苔テラリウム業界の流れ

ずっと苔テラリウムを作っているとだいたい同じようなレイアウトに落ち着いてくる。

クリエイターからするとその形が成功例であり、管理もしやすく見た目も良いのでお客様に提供するには間違いのない形なのだ。

しかし、近しい雰囲気の作品ばかりを量産するのではクリエイターと名乗る以上、少し歯痒い思いをしている。

ところが奇抜な発想などはそんなにたくさん生まれないし、やったとしても管理が難しくすぐに苔がダメになってしまったり形が崩れやすかったりすることもある。

おそらく他の活躍されているクリエイターの方々も同じような悩みを抱えているんだろう。

さまざまなレイアウトがあるが、SNSなどを見ているとだいたいのレイアウトパターンが出尽くした感がある。

このままクリエイターが規定路線の苔テラリウムばかりを作っていると次第に世間から飽きられてしまうだろう。

苔テラリウム業界の発展のためには、やはり、何か新しい発想やアイデアや仕組みが求められる。

となると、次に注目が当てられるのは苔テラリウム本体に付随する容器や材料などの周辺オプションではないだろうか。

ガラス容器の形、大きさ、仕様などはまだまだ種類があっても良いし、フィギュアなどは無限大にデザインできる。

また、容器を取り巻く環境作りの分野でもまだまだ誰もやっていないことはある。

それらの開発や販売をクリエイター目線で行えばひとつの作品がまた新たな表現力を持って違う顔を見せてくれるはず。

また、クリエイターが開発し作品展開すればそれに対する需要も生まれることになる。

周辺オプション開発は苔テラリウム業界を支える大きな柱となることは間違いなさそうだ。

今後、苔楽企画も苔テラリウム愛好家代表として、そちらの分野にも力を入れていきたいと思っている。

もし、ご協力いただける方やアドバイスいただける方などおられましたら是非お声かけください。

愛知県瀬戸市イベント「苔テラ小屋」を終えて

結果大成功で終えたイベント「苔テラ小屋」を振り返ろうと思う。

苔しばりのイベントで何か面白いことができないか?

それがヒロシックスさんの最初の発想だった。

その後、色んなアイデアを集まった仲間で出し合った。

そして、苔テラ小屋は今までの苔イベントにはあまりない新しい発想の盛り込まれたイベントとなった。

大枠は苔テラリウムのワークショップだが、それを形作る要素や意義が斬新だったのだ。

まずは声をかけた東海地方のクリエイターや苔愛好家達が集合した。

東海地方には苔メインのショップが無く、関西や関東に比べるとあまり苔文化が盛り上がっていないように見える。

だから、私たちの力で苔文化を盛り上げようと思っている仲間たちだ。

そして最終的にただ普通に苔テラリウムを作るのではなく、ワークショップの流れの過程を区切りそれぞれができることを役割分担することにした。

つまり、お客様はひとつのオリジナル苔テラリウムを作るために別々のクリエイターのブースを経てそこで集めた部材を使い完成させるのだ。

まずはあいさんのブースでフィギュアを粘土細工で手作りする。

そしてまこさんの用意した苔やシダを見て自分が使いたい苔やシダを選ぶ。

そのあと私のワークショップで苔テラリウムを完成させるという流れだ。

またその周りにはK2工房さんやコケ田コケキくんの作った苔に関連するグッズや作品が並び、イベントを盛り上げてくれる。

それぞれのクリエイターたちが一連の流れの中で輝くことができ、お客様達もそのコースを終える頃には苔文化に触れた満足感に浸って帰ることができるような仕組みだ。

このイベントに来てくれたお客様はおそらくもともと苔好きな方が多かったのだろう。

それぞれのクリエイター達がSNSを使って「苔テラ小屋」を発散してくれたことで予想を遥かに超える人数の方が来てくれた。

大きなトラブルもなく終えることができたのは仲間たちがスタッフとしてフォローしあいながら円滑な仕事をしてくれたお陰であろうと確信している。

そして、「楽しかった。」「またやって欲しい。」というお声もたくさんいただいた。

主催者のヒロシックスさんはおそらくすでに第二回目の構想を練っているだろう。

私は、東海地方から苔文化を盛り上げたい人間の一人として、また次回のお誘いがあることを心待ちにすることとしよう。

水の表現について

苔テラリウムは自然の野山を小瓶の中に表現するのが基本スタイルだ。

自然の景色の中には植物や岩盤、動物などと併せて川や海などの水辺がある。

そもそもアクアリウムの中に分類されるテラリウムは本物の陸と水を水槽の中に設けて本物の生体を入れて楽しむものだ。

そのテラリウムから発展したはずの苔テラリウムでは本物の水を使うことはほぼ無い。

そこが苔テラリウムの良いところだと私は思っている。

なぜなら水や生体を扱うと管理が非常に難しく、室内に異様な臭いが漂ったり、音がうるさかったりして大変だからだ。

とはいえ、自然の風景を苔テラリウムに再現しようとするとどうしても水辺の風景は外せない。

たくさんの人がたくさんの素材を使って水辺を表現しようとしている。

私も水辺の表現をするのにいくつかの素材を経て来た。

例えば滝の表現をするためにグルーガンを使ったり、はたまた木工用ボンドを試したりした。

木工用ボンドは水に濡れてダメになるので失敗。グルーガンは未だによく使っている。

寒水石は日本庭園の枯山水をヒントに使い出した。

シンプルな白は光を持ち印象としては明るくなるのでよく使った。

さらに水辺の景色にリアルさを追求していくといずれレジンを使うことになる。

ただレジンは扱いが非常に難しいし、有害物質も含まれるため初心者にはかなり難儀な素材である。

そんなこんなで探し当てた、というか私にぴったりマッチした素材がカラーサンドだ。

最初購入したカラーサンドは粒子が細かすぎて加水と共に流れていってしまい失敗した。

しかし、適切な粒の大きさにしたところ、扱い易さが非常に良いものとなり重宝することになった。

最近はもっぱらこれを使って水辺の表現をしているがとても評判が良い。

カラーサンドなのでとにかく発色が良いことが特徴。

苔と石の比較的地味な色合いの中で原色が入るとひときわ目をひくのである。

また、メインの色に少し彩度を落とした色を加えると素敵なグラデーションが出来上がる。

このグラデーションが原色のカラーサンドが嫌味なく自然の景色に溶け込む肝であることは間違いないのである。

山に行って渓流をよく観察してみよう。

全ての景色はグラデーションで覆い尽くされていてそれが柔らかな景色を作っていることに気づくことだろう。

苔テラリウムは自由だ。

それぞれが好きな素材を使い、探求心の赴くまま試してみて、いずれ自分にマッチした素材に出会えたらそれでいいと思う。

名古屋で開催する体験型植物イベントNABOLOに参加します!

https://www.instagram.com/p/Ci4GnqzLT2P/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

このたび、大型苔イベントNABOLOに参加させていただくことになりました。

私、苔楽にとっては大きな大きな躍進を感じているところです。

NABOLOというイベントは全国展開するFeel the gardenさんが定期的に主催している由緒正しきイベントで、苔に限らず植物ファンの方々が心待ちにしている大型イベントです。

なんと今回、私、苔楽もご縁があって参加させていただくことになりました。

私以外の出店者は苔界の超有名な方々ばかりなのでそこに私がいることに最初戸惑いました。

でも、出るからには他の方と同じような作品を出品してもあまり目立たないと思い、今回は苔テラあんどんをあえて全面に出すことにしました。

いわゆる「いろもん」ではありますが作品としての自信はありますし、苔テラあんどん用の棚も名古屋のK2工房さんに依頼して作成してもらいました。

来ていただいた方にはまずは立ち止まって見ていただけるようなブースになると思っています。

さらに10/4と10/5はワークショップも同会場で開催させていただきます。

苔テラリウム愛好家代表、名古屋代表として、しっかりとその役割を果たしてまいりたいと思っております。

特に地元の方は是非応援のほどよろしくお願い申し上げます。

オープンタイプの苔テラリウムがくる!?

苔テラリウムというと密閉型の小瓶に石と苔を配置するクローズドタイプが主流。

そして現在のところそれが王道であり基本だ。

ただ、私は苔テラリウム作品のデザインの流れにおいて、もうすでに次のターンが始まっているのではないかと思っている。

それはオープンタイプの苔テラリウムの発展だ。

オープンタイプの苔テラリウムとは、クローズドタイプだと使えなかったモミジやナンテンなどの苗木を使ったり、シダ植物と組み合わせたりする手法だ。

理由は、一般的なクローズドタイプの苔テラリウムはレイアウトパターンがすでに成熟し、新たなバリエーションを失いつつあるからだ。

もちろんその中でも個性を発揮するクリエイターもいるとは思うが、商品棚に並ぶ作品はどうしてもやや似通ってしまっているのは否めない。

それは悪いことではなく、苔テラリウムの手法が定着したわけなので喜ばしいことに違いないが、一方でさらなる人を惹きつける魅力をもっと出して行かないと発展はない。

クリエイターの方々は新たなるバリエーションをこれからもどんどん考えて世に出し、人々の目を楽しませて欲しいと思う。

ところでオープンタイプの苔テラリウムって、もはや盆栽なんじゃないかとの疑問点が残る。

私の解釈では盆栽とジオラマのセオリーを融合させて苔で表現したのが苔テラリウムでそのルートから派生したのがオープン型苔テラリウム。

つまりルーツが違うのである。

かなりこじつけがましい。。。

それはさておきオープン型の苔テラリウムに使える苔は庭ゴケなどに採用されている種類に限られてくるだろう。

スナゴケ、ハイゴケ、シノブゴケ、ホソバオキナゴケなど。

ここにきてフデゴケの躍進もあるかもしれない。

苔テラリウムの未来を想像すると本当に楽しいのである。

苔観察に行く時の注意点

苔のことをもっと知りたいという思いから月に数回は野山に足を運んでいる。

自生している苔を見ることは苔テラリウムを作る上で重要。

それぞれの苔がどんな環境をのぞんでいるのかを身をもって知ることができるからだ。

ただ、苔好きの人が森に入る時にはいくつかの注意点がある。

その注意点を守らないと時には命の危険にも繋がりかねない。

今回のブログでは山や森での注意点をお伝えしようと思う。


まず最初は身なり、服装である。

本当に基本的なことなので知っていただきたい。

足元の靴はトレッキングシューズを履く。

苔観察では岩場や水場、砂地や砂利敷きなどさまざまな地形に応じた地面を歩くことになる。

スニーカーやサンダルでは不可能だ。

平らな面だけではなくゴツゴツした岩場を歩くこともあるので捻挫をしない様に足首をガッチリ固定できるタイプのトレッキングシューズを選ぶ。

苔は水を好むため、ぬかるんだ場所や渓流に多く自生している。

遠くの乾いた安全な場所から眺める分にはいいが苔好きはどうしても近くまで寄って観察したくなる傾向がある。

近づくためには水に強い撥水加工がされたシューズが有効だし、靴裏が滑り止め仕様になっている必要がある。

靴選びの際はその様なことを考慮した上で買うと良い。


次に服装のポイント。

それは肌の露出を極力抑えることだ。

夏場でも半袖半ズボンは避けないといけない。

森の中では獣道の様なところを歩くことがある。

そうすると知らぬ間に尖った枝やトゲのある植物に触れたり、毒性のある葉に触れたりする。

服で肌が覆われていればよっぽど肌を傷つけることはないはず。

それと蛇やムカデ、アブや蚊やハチやヒルなどは常に私たちを狙っていると思ってよい。

そのような敵に万一襲われても軽傷で済むためには肌の露出を抑えることが必須だ。

今言ったことは腕や足だけではない。頭も外敵から守る必要がある。

帽子も忘れずに被るように。

おススメはハット型。

夏場は日差しを遮ってくれるし、蜘蛛の巣に気づかず進んだ時に防御にもなる。

スズメバチは黒いものに向かってくる修正があるので帽子を被ることで髪の黒を隠すことができる。


これは意外に知られていないことかもしれないが香水をつけて行くのはやめよう。

その甘い匂いにつられ、アブやハチなどにしつこく付きまとわれることになるだろう。


次に持ち物について。

まず絶対に必要なのは飲料水。

水場に行くし清流が流れてるからそれを飲んだら良いと考えるのは浅はかだ。

川の水は濾過しない限り色々な不純物や細菌などが混ざり込んでいるもの。

気軽に生水を口にすると体調を壊す原因になる。

山や森の中で体調を崩したら一大事だと知っているなら安全な飲料水を持っていくべきだ。

森の中を歩いていると気づかない内に体力は消耗している。

水分補給は意識してしっかり摂るようにしよう。

必須の持ち物二つ目はクマ、イノシシよけのベル。

相手に遠くからこちらの存在に気づかせてあげることが大事。

クマやイノシシも好き好んで人を襲うわけではない。

襲われた多くの場合は急に鉢合わせた場合だと言う。

もし、私はクマやイノシシが出るような山深いところまでは行かないという人でも対策はすべき。

動物たちはエサを求めて里までおりてくることはよくある。

私も先日、住宅街にほど近い森の中でケモノ道を歩いていた時、後ろの方からグルル…という動物の威嚇する声を聞いた。

これは目が合うと襲われるかもしれないと思い、こちらは気づいていないフリをしてその場を早足で進み、なんとか切り抜けた。

帰宅してから、あの威嚇する声の主はなんだろうと思いYouTubeで調べたところ、なんとまさにクマの威嚇する声とそっくりであることを知り、ゾッとしたことがある。

まさかあの住宅街にほど近い森の中にクマなんかいないだろうという思い込みがあったがそれは間違いだとようやく分かったのだ。


注意点の最後は遭難だ。

遭難なんて…と思っているかもしれないが山を甘く見てはいけない。

私はアスファルトで舗装された峠道の脇に足を踏み入れたあと、遭難しかけたことがある。

道路脇だからいつでも戻れるだろうと思い気軽に入った森での出来事。

水が流れる音のする方へ苔との出会いを求めてどんどん進んで行った。

日も暮れかけてきたので、さて帰ろうかと来たルートを戻る。

ところが、進んでも進んでも車を停めたアスファルト道路にまで辿り着けない。

遭難だ。

スマホは圏外、GPSも使えない。

持ち合わせた水も食料も何もない。

三時間くらい彷徨っただろうか。

ようやく道路に出たがそこは車を停めた位置から数キロ離れた場所だった。

私たち苔好きは夢中になっていると人が足を踏み入れないような場所にどんどん進んでいこうとする。

また苔に集中しているので下の方ばかりを見ていて来たルートを見失う可能性もある。

つまり遭難の危険に無意識のうちに晒されていることを自覚しなければならない。

遭難しないための最初のポイントはケータイやスマホを頼ってはダメだということ。

森の中に入ると、ほどなくして圏外になることが多い。

ネットへの接続ができないとなると道に迷った時にその森の地図や情報を知りたくても調べることさえできなくなる。

地図や情報は紙に打ち出して持ち歩くか、ダウンロードしてローカルでも閲覧ができる状態にしておくと良い。

次のポイントは通った道に目印になるものをつけるのが有効だ。

特に分岐路には枝や幹に目立つ色の紐を巻きながら進むといい。その位置が見えなくなる位置に次の目印をつける。

そうすると迷ったときに進むべき方向が明確になる。

紐を忘れたならポイントに大きな石を積んでおくなど工夫してもいい。

あと、気軽に森に入るのは良くない。

この森はどんな森なのか、ルートは?距離は?事前に調べること。

また、一人ではなくなるべく複数人で行くことをおススメする。

その中には森のことに精通しているメンバーがいるとなお良い。


以上、苔観察に行くときの注意点をまとめて見た。

くれぐれも夢中になりすぎて事故の無いように安全に苔観察を楽しんでほしい。

サンキュー家族

私が苔活動をはじめてから今まで家族から批判されたことは一度もない。

むしろ応援をしてくれている。

年中アトリエにこもり苔テラリウムを作ったり、本業の休みの日のほとんどを苔活動に費やしたりしてもだ。

妻も自然やアウトドアが好きで自ら制作することはないにせよ苔テラリウムの美しさには共感してくれている。

苔楽活動に一切口を出さないが私が相談をすると客観的な視点で考えたアドバイスをくれる。

両親は苔楽のイベント情報をどこかから聞き付け一般のお客として参加したり、作品を購入してくれたりしている。

それこそ YouTubeをアップすればすかさず感想を送ってくれたりとか。

中学生の子供たちも積極的に興味を持つわけではないが、活動をやめて欲しいなんて一言も言わない。

おそらく周りにいる家族が批判的な人たちばかりだったらこの活動は途中で放棄していただろう。

本当に家族の理解と協力に恵まれている。

苔楽の活動理由は東海地方から苔文化を広めるため、だけでなく実は自分自身の活力になるからでもある。

本業の仕事だけをしていたのであればこんなに多くの人に苔を通じて出会うことはなかっただろうし、自己表現の場も持ち得なかっただろう。

苔楽は私の分身。

私の性格や考え方が目で見える形で具現化されたものと言える。

家族に支えられながら、見守られながら思う通りに活動をさせてもらったからこそ、苔楽が私というものを表現するための媒体となることができた。

これから先も私が存在し、家族がいてくれる限りは苔楽はなくならない。

サンキュー、苔楽!サンキュー、家族!である。

苔楽フィルム2ndシーズンまとめ

YouTube苔楽フィルムでやりたかったこと。それはシネマティックな映像の中で苔テラリウム制作をすること。

視聴者を集めるとなるとあまり効果的ではないのは理解しているがどうしてもやりたい気持ちは抑えれない。

というわけで自室を飛び出し、外の世界で撮影することにした。

2ndシーズンと名打って開始。

とはいうもののいきなり外に出たら今までの苔楽フィルムのファンの方がびっくりしてしまう。

最初はいつもの部屋で撮影。

ただし、あくまでシネマティックに。

極力解説などはせず、サイレントで臨場感を出すという雰囲気に馴染んでもらうためのもの。

それがこの動画。

1 連山檜の道標【苔テラリウム制作動画】

第二回は一応外に出る。外と言っても自宅の庭だ。

苔楽フィルムのファンの方に徐々に慣れていただくためだ。

自宅の庭は妻が常に手入れをしていて居心地の良い雰囲気になっている。

そこにいると妻のオーラに包まれているかのような安心感に浸れる。

この時は私自身も屋外で苔テラリウムを作るのははじめて。

猛暑の最中、苔を取り出し外気に触れさせると一瞬でカサカサになってしまうことを学んだ。

そんな苦労の中撮影したのがこの動画です。

2 赤い屋根のキノコのお家【苔テラリウム制作動画】

次にいよいよ家を出る。

愛知県長久手市のモリコロパークだ。

もうすぐジブリパーク開園を控えているモリコロパークで撮影するのはラストチャンスかもしれない。

開園前ということもあり、工事用の重機が行き来する。それもまた臨場感。

私は雨男らしい。記念すべき屋外撮影の一回目であるその日も雨。

ところがシネマティック動画となると雨もまた良い雰囲気を醸し出す。

公園の芝生広場の真ん中にでっかいステージがあり、その屋根の下で撮影することにした。

3 クロスケの住む森inモリコロパーク【苔テラリウム制作動画】

この段階で苔楽フィルムを見ていた方の反応が分かれ始める。

チャンネル登録を外してしまう人もちらほらと出てきて、登録者数が停滞してしまった。

私の中では想定内ではある。

解説をしながら苔テラリウムを作る動画を見てチャンネル登録をしてくれた人からするとだいぶ色の違うことをしているから当然。

ただ、私は2ndシーズンは最低10本は仕上げたいと思っている。

ここでへこたれるわけにはいかない。

2ndシーズン4本目は滝だ。

苔が好きな人はおそらく滝も好きだ。

私は以前一度苔観察に行ったことのある場所で、撮影がしやすそうなところをピックアップし、そこに向かった。

愛知県新城市 鳴沢の滝。

観光地でもあるが今は栄えていない印象。平日であれば人気も全くない。

滝壺から50メートルくらい離れた場所に砂地の開けたところがあり、そこで撮影することにした。

少し離れたところでやっていたので滝壺に訪れた人はほとんど私に気づかないようだった。

ちょっと困ったのが滝壺に入り滝行を始めるお爺さんがいたことである。

あたり一面にお経のような声が響き渡りやむなく撮影を一旦中断せざるを得なかったこと。

しかもその人は服を一切まとっておらず映像に映り込まれたらお蔵入りである。

そんなハプニングもありながら撮影したのがこの動画。

4 滝の姿に魅せられて【苔テラリウム制作動画】

なかなか好調に動画をアップさせることができて周りの人にも YouTubeの雰囲気が変わったね、などと言われるようになってきた。

良い流れだ。

シネマティック動画は屋外でなければならないなんてことはない。

お洒落なカフェなんかもその舞台としては完璧だ。

私が苔テラリウムのワークショップを行う会場に愛知県日進市のリセイムさんというところがある。

キッチンカウンターもありジャズの流れるお洒落な空間だ。

たまたまワークショップの空き時間ができたのでそこで撮影をすることにした。

シネマティック動画に少し日常を組み込むことも構成としては親しみやすさにつながるので悪くはないはず。

この日、入り口の扉の上にツバメの巣があることを発見。

もちろん動画の要素として盛り込むことにした。

親ツバメが餌を運んでくる瞬間を近接撮影をしたくてカメラをセット。

どこから見ているのか親ツバメが警戒してなかなかやってこない。

10分経っても来ないので諦めてカメラを引き上げるとそのすぐ後に餌を持ってくる。

そうなると私と親ツバメの駆け引きの始まり。

またカメラをセットして少し離れたところから待つが来ない。

ダメかと引き上げたらやってくる。。。

実はこの攻防が30分〜40分くらい続き、ようやく餌やりシーンが撮れた。

一瞬の餌やりシーンのために実は結構苦労をした動画でした。

5 涼しげな清流の苔テラリウム【苔テラリウム制作動画】

この頃から少しずつ再生回数も増え出してきた。

なんとなく、苔楽はこういうことがしたいんだなと雰囲気をつかんだ上で見てくれているのだと思う。

実は2ndシーズンを撮影するにあたり見本にしている動画がある。

モリノネチャンネル。

キャンプ動画ではあるがサイレントでシネマティック。カメラワークや色合いが最高。やや長尺だがずっと見ていられる。

お酒を飲みながら週末にのんびり眺めるのもひとしおだ。

リンクを貼るのはやめておくが是非検索してみて欲しい。

いよいよ後半。第六回目の撮影。

舞台は岐阜県板取。

ここに流れる川は伏流水を含んでおり透明度が抜群に高い。

どうしても撮影をしたかった場所だ。

ただ、夏のこの時期、板取は観光客で賑わう。撮影には全く適していない。

そこで板取で苔ショップをしているForest knotさんにアクセスし、おススメの撮影スポットを教えてもらうことにした。

店主の兒玉さんは大変気さくで人の良い野心家。常に苔とお客様に向き合ってより良い未来を模索している。

苔楽フィルムのことを知ってくれており、大変協力的に場所探しを手伝ってくれた。

このように人とのつながりを生みだす力が YouTubeにはある。

案内してくれた場所は文字通りのthe河原。素晴らしいロケーションである。

しかも地元の人しか知らない隠れ家的スポット。観光客が来ないので一切汚されていない神々しい場所だ。

この先に行くと熊が出るかもしれないからあまり奥には行かないようにと兒玉さんは忠告して去って行った。

その言葉が心に残ったのか作品テーマにも反映されたような気がする。

その時の動画がこちら。

6 猿と熊の潜む登山道in岐阜県板取川【苔テラリウム制作動画】

YouTube撮影は個人でやられている方がほとんどだと思う。

私もその一人。

ただ、今回の撮影は少し違った。TwitterやInstagramなどで知り合った苔仲間の方々が色々と協力してくれた。

まず、ロケーション。

2ndシーズンは自室にこもって撮影するのではなく、環境も含めて楽しんでもらいたいのでまずはロケーションが必要である。

公共の場や、河原などは迷惑にならない場所であれば特に許可は必要ないのですが、個人の所有地内で撮影となるとそうはいかない。

私の構想の中で、荘厳な雰囲気の苔むすお寺で撮りたいという野望があった。

それを苔仲間に話すと、知り合いのお寺さんに聞いてみると言ってくれた人がいた。

苔男子まこさん。

彼は行動力にたけ、アイデアマンである。

私の活動に協力をしようといつも前向きな姿勢で向き合ってくれる。

お寺で撮りたいんですよね。ふと私が話した言葉に反応してくれ、すぐにロケーションまで抑えてくれた。

本当にありがたかった。

協力者は一人だけではなかった。

撮影当日、アシスタント的な立ち位置で私に同行してくれたhiroshixさん。

私が、一人だとちょっと心細いんですよね。とつぶやいた言葉に反応してくれて即座にいつ撮影?と聞き返してくれた人である。

hiroshixさんは自らも YouTubeをやっていて私の撮影へのアドバイスや協力をしてくれた。

撮影時に敷いていた紅葉の手拭いも苔も提供してくれたのはHiroshixさんです。

今回の動画はそんな方たちのお陰でできた大切な動画となりました。

撮影地は岐阜県山県市のお寺。約700年の歴史のある西山浄土宗善導寺。

管理された苔庭と荘厳な雰囲気。至る所に響く水の流れる心地の良い音。

こんな素晴らしい場所と協力してくれた仲間に支えられての撮影は一生忘れないと思う。

公開 2022年9月9日(金)18:00-

苔テラリウム座談会

地元愛知の公益施設で苔テラリウム座談会なる企画を立てた。

簡単に言うと苔好き友達を作ろうというサークル活動である。

毎月一回平日の夜19:00-地元の苔仲間がドリンクをいただきながら苔について語り合おうという趣旨である。

このようなサークル的なイベントの試みは今までの苔界隈ではあまりなかったように思う。

苔観察会やワークショップはあるが、それらはあくまで講師がいて生徒がいる構図、つまりどちらかというと一方通行のコミュニティである。

サークルは各個人が双方に持ち寄った苔テラリウムについてのことや苔のことについてわいわいと話ができる。

実際、苔テラリウムはまだまだコア分野。

周りに一緒に楽しく苔のことを語れる人などなかなか見つからないもの。

そこで私が舵取りをして地元の苔好き達を集め、親交を深めていく。

そうすればそこに集まった人は苔を通じて仲間となり、そのコミュニティが居場所になる。

私はずっと東海地方から苔文化を盛り上げたいと私は思っている。

まずは小さなコミュニティでも良いのでみんなの居場所を作ることからはじめようと思う。